オフィス業務効率化の最新トレンド「RPA」―そのカギを握るOCR精度向上

日本企業も参入し始めるRPA産業とは

企業のバックオフィス業務などを効率化し、最終的に利益を最大化する技術として注目を浴びるロボティック・プロセス・オートメーションRobotic Process Automation、以下RPA。昨今、同分野に参入を表明する日本企業が徐々に増え始めている。
直近では2017年7月3日に、日立ソリューションズがRPAやAI人工知能を活用した「ワークスタイル変革ソリューション」の提供を開始するとしている。また同日、ソフトバンクも関連サービスへの参入を用意していると「ITpro」が報じた。

RPAとは、ホワイトカラー業務やバックオフィスにおける反復的な業務プロセスを自動化するソフトウェアロボット、もしくはシステム全般を指す。企業には、人間の手の介在が不可欠な業務例えば、電話対応やメールの仕分け、領収証の整理などは多岐にわたるが、それらを自動化してコスト削減や新たな価値を作り出そうというのがRPAの目的となる。KPMGコンサルティングの発行している資料「企業におけるRPA導入のリスクと対策とポイント」には、次のような解説があったので引用したい。

RPAは仮想労働者Digital Laborとも呼ばれ、従来人手で行っていた業務をAIや機械学習等を含む認知技術の活用により代替するものである。RPAはロボットに対するトレーニングや操作の記録により自動化を実現するため、従来のプログラム開発による自動化に比べてコストが低く容易に導入することが可能

これまで製造業などの工場では、タスクを自動化する産業用ロボットが発展・活躍してきたが、RPAではその活躍の場所が「オフィス」になるとイメージしていただければ分かりやすいだろうか。またそのオフィスで働く「ソフトウェアロボット」は、認知見て聞いて対象を把握や判断など能力を備え、人間にしかできないとされてきた作業をやがて自動化することができるとされている。

RPA関連市場は順調に拡大するという予測が多く、なかには2020年までに世界市場規模50億ドル約5500億円、年平均成長率60を記録すると指摘する分析もある。

RPAは導入企業にコストの削減、効率の改善、コンプライアンスの改善、業務上のミス低減、人材の有効活用など多大なメリットをもたらすともされている。実際、RPAを導入することにより、すでにメリットを享受している企業も決して少なくない。

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手書き文字からRPAの課題

ただし、RPAの導入が容易に進み、企業がすぐにメリットを享受できるかといえば、必ずしもそうではない。RPAを全体的に上手く作動させるためには少なからぬ課題がある。

数ある課題にひとつに、手書きで書かれた文字をデジタルデータに変換する作業がある。企業内には、さまざまな手書きの資料が存在する。領収書や履歴書、受発注関連書類、またキャンペーンの際に集められたアンケート用ハガキなど、その例を挙げていけば枚挙に暇がない。それら手書き文字をRPAで活用するためには、デジタル変換が必須になるのだが、多くの企業ではその変換作業を、人間の手に頼らなければならないという現状がある。

自動化やコストカットを達成するために、膨大な人力・労力・コストを使ってデータ変換作業をこなす必要があると聞くと、なんだか本末転倒な気もするが、実際、その手の悩みを抱えている企業は少なくないという。

そんな手書き文字のデジタルデータ変換を効率的に達成し、各企業におけるRPA導入を現実的にするキーテクノロジーがある。AI技術を取り入れることにより、手書き文字を正確に認知しデジタル変換することを可能とした「Intelligent OCR」だ。なおOCRとは「Optical character recognition光学文字認識」の略称となる。

現在、そのIntellingent OCR分野で数多くのサービス提供実績を持つのが、AI inside社だ。同社でIntelligent OCRの開発・営業に携わるエンジニアは言う。

「世界的にも、また日本国内においても現在、RPAの本格的な普及前夜となっています。ただ、手書き文字などアナログデータをデジタルデータに変換する作業は、多くの企業にとって、リソース的にも経費的にも負担がとても多い課題でした。そこで当社では、Intelligent OCRの開発に注力してきました。現段階では、人によって特徴がある、またくずれた手書き文字であっても、正確にデジタルデータに変換することができるようになってきています」

OCRはRPA実現のラストワンマイル

現在、RPA業界関係者たちの中では、Intelligent OCRについて「アナログデータとRPAを連携させるための“ラストワンマイル”」という評価も浮上しはじめている。前出のエンジニアは続ける。

「弊社では、Intelligent OCRをRPA導入の架け橋としてだけではなく、その後の展望も見通しています。例えば、手書きの間違った文字を修正しつつデジタルデータに正しく変換するという使い方です。そのような構想が実現できれば、RPAにおいてOCRが果たせる役割はより大きなものになるでしょう」

RPAはメリットが多い反面、いくつかの側面ではリスクも指摘されている。そのひとつに「誤処理が起きた際に検知できない」というものがある。言い換えれば、デジタルデータへの文書化が適切に行われなかった場合、その後の全体的な業務プロセスに支障をきたす可能性があるというものだ。結果的に、企業の利益損失にもつながりかねない。

ただ、AI insideのエンジニアが言うように、OCRの発展により人間の間違いを正すほどの適切な文書化が達成できれば、指摘されているようなリスクが自動的かつ技術的に回避可能となる。企業のRPA成功を左右しうるIntelligent OCRの発展に期待が集まる。