スマホの次の必需品…人工知能が切り開く「スマートスピーカー」のある生活

進化するスマートスピーカー、自動的に通報まで!?

音声アシスタント機能とネット接続を組み合わせ、さまざまなサービスを利用できる「スマートスピーカー」。利用者が「音楽が聴きたい」などと声でリクエストすると音楽が再生され、「洗剤が切れたから注文して」と語りかけるとECサイトで注文をしてくれる。スマホと連動させた電話の発信、音声によるネット検索をはじめ、将来的には、家電と連動して室温の調整や施錠なども行えるという。

スマートスピーカーは、人間の命令を聞いて理解する「人工知能を持ったスピーカー」といえるだろう。

実際に普及が拡大しているアメリカでは、口論する住人のそばにあったスマートスピーカーが自動的に通報し、傷害殺人事件を未然に防ぐ出来事もあったという。

「Engadget日本語版」(2017年7月10日付)によると、米ニューメキシコ州で起こったこの事件に対して保安当局は、「スマートスピーカーが偶然にも通報したことで最悪の事態を回避できた。この技術は間違いなく母子を暴力的状況から救うために役立つことができた」とコメントしたという。

偶然が良い方向に転がっただけとの見方もあるが、スマートスピーカーのポテンシャルを示す好例だろう。

大手IT企業が参戦も、トップは「Amazon Echo」

そんなポテンシャルを秘めたスマートスピーカー市場には現在、アマゾンやグーグル、マイクロソフト、アップルと、大手IT企業が立て続けに参入している。

現在、トップを走っているのはアマゾンのスマートスピーカー「Amazon Echo」だ。アメリカで2014年11月に発売して以降、複数のモデルが出ており、同国での販売台数は1000万台を超えたとの報道もあり、シェアも70%に上るという。

市場を先行するアマゾンは、2017年5月上旬にアメリカで「Amazon Echo Show」を発売。これは、スマートスピーカーに7インチのタッチスクリーンを付けた商品だ。「ギズモード・ジャパン」(2017年7月9日付)の「Amazon Echo Showレビュー:Echo+画面=便利に決まってる」という記事では、アメリカ人記者が実際に使ってみた感想を以下のように話している。

<このパッケージはあまりに良すぎて、その短所も長所からのとばっちりのように感じられるほどです。パワフルなスピーカーと明るく高画質な画面を使って、Echo Showは簡単な質問に鮮やかに答えたり、受け取りやすい形で情報を伝えてくれたりするので、期待がどんどん高まってしまうんです。その期待が行き過ぎると、犬の様子がおかしいんだから電話してくれたっていいじゃんとか、テキサスの小さな問屋さんが扱ってるお気に入りのサルサソースをどっかで見つけて(買って)くれないかなとか、そういう無茶振りがしたくなってきます>(前掲記事より引用)

アマゾンやIT企業の真の狙い

Amazon Echoに搭載されているのは、人工知能を備えた音声認識機能「Amazon Alexa」だ。

Alexaに対応したデバイスが認識した音声がクラウドサービスに送信され、クラウドサービスは音声をテキストに変換。そのテキストの処理結果をデバイスに返して、音声として再生させるという仕組みになっている。Amazon Echoだけでなく、「Amazon Fire TV」にも搭載されている。

アップルの「Siri」とほとんど同じ音声アシスタントというわけだが、一番の違いはAlexaがサードパーティ(第三者的に参加する企業)などの開発者も利用できるオープンなシステムになっていることだ。

「日本でもAmazon Echo年内発売?既に業界は戦々恐々」(「Newsweek日本版」2017年1月30日)では、Amazon Echoの最大のすごさを「実は米国では、Echoに搭載されている音声技術Alexaが多くのサードパーティに採用され、機器連携の事実上の業界標準になりつつある」と指摘している。

その連携サービス数は「2015年9月には、14しかなかったのが、2016年9月には3000を超え、12月には5400を超え」(同記事)ており、音声でテレビをつけたり、照明を暗くしたり、ピザの配達を注文したりもできるという。

こういった事情を踏まえるとAmazonの人工知能は今後、日常生活のさらに多くの場面で人々のアシストしてくれるようになるかもしれない。

グーグルは二番手――生活に欠かせないデバイスになるか

そんなAmazon Echoシリーズを追いかけているのが、アメリカで2016年11月に発売されたグーグルの「Google Home」だ。

搭載されているのは、対話型AI「Google Assistant」。英語をはじめ、日本語、フランス語、ドイツ語、ポルトガル語にも対応しているという。Google Homeは日本でも年内に発売される予定だが、Amazon Echoとの差別化が課題と指摘されている。ユーチューブやグーグルフォトなど、他のグーグルサービスとの連携を期待したいところだ。

また、アメリカではアップルの「Home Pod」、マイクロソフトの「Invoke」が年内に、日本からもLINEが「WAVE」の機能を絞った先行版を今夏に発売する。中国のアリババも「Tmall Genie」を発表しており、韓国サムスンのスマートスピーカー開発も噂されている。

現在はアマゾンが独走状態だが、他社の追撃も激しさを増していく一方のようだ。

音声アシスタントの開発にAIが使われることで、劇的な進化を遂げているスマートスピーカー。これだけ大手IT企業が参入しているところを見ると、“最も身近なAI”として暮らしに欠かせないデバイスとなるかもしれない。