恋を自動でマッチング!? 運命の人をAIが見つけてくれる時代

AI・人工知能EXPOで注目を浴びた「恋愛カウンセラーAI」

日本初となる人工知能(AI)の展示会「AI・人工知能EXPO」が、2017年6月に東京ビッグサイトで開催された。会場にはさまざまなAI製品が展示されたが、なかでもNTTレゾナントが開発を進める「オシエル」が一際大きな注目を集めた。

オシエルは「恋愛カウンセラーAI」。つまり、恋愛に関する悩みや相談に答えてくれる恋愛特化型AIサービスだ。同社が運営する掲示板gooと連動し、過去に掲示板に書き込まれたQ&Aの中から、相談に最適な回答をユーザーに届けてくれる仕組みとなっている。

直截に言ってしまうと、オシエルのAIの使い方はそれほど目新しいものではない。AIアシスタントやチャットボットの用途を、恋愛というカテゴリーに限定したというだけの話だ。とはいえ、人間の最大の関心ごとのひとつである、恋愛に的を絞ったAIサービスが本格的に登場してきた事実は、人々の生活と密接な領域にAIが進出するきっかけになるものとして注視する必要があるかもしれない。

恋愛は人間の本能的行動であるとともに、経済的観点から見たときには大きなビジネスの“場”でもある。例えば、市場調査会社・Marketdata LLCが発行している「米国のデートサービス産業」という資料では、米国のデートサービス市場規模が約25億ドル(約2750億円)と見積もられている。

ここで言うデートサービスには、オンラインチャット、オフライン環境における結婚・出会いマッチング、独身者カップリングパーティー、デートコーチ(異性との付き合い方を指南するビジネス)などが含まれている。だが、厳密に言えば、恋愛市場はそれだけにとどまらないだろう。「パートナーへのプレゼント購入」「旅行」「結婚式」などの消費行動まで含めれば、さらに市場規模は大きいはず。正確な統計はないものの、その事情は日本においても同様で、潜在的な市場は数兆円規模とも言われている。そんなビジネスの鉱脈である恋愛市場において、AIはどのように使われ始めているのだろうか。

疑似恋愛やマッチングに利用され始めたAI

恋愛×AIという分野で見たときに真っ先に思い浮かぶのは、前述した「恋愛相談」だ。精度の良し悪しはあれ、人に言いにくい悩みを相談する相手としてAIアシスタンとは最適。求める答えが返ってこなかったとしても、悩みを吐き出すだけで楽になるという人々は意外と多いのではないだろうか。

次に「AI彼氏」「AI彼女」とやりとりができる「疑似恋愛アプリ」も密かな人気を得ているようだ。女性が抱えるAI彼氏への需要をレポートした恋愛情報サイト「PROLO」記事には、以下のような利用レビューが掲載されていた。

<AIとの会話の面白いところは、それなりに会話として成立するしっくり感。もしくは「微妙に噛み合わない」ところであったり「突拍子もない返答」でもあったりするわけですが、何よりも「既読スルーしない」「傷つけるようなことを言わない」という安心感が、人々を惹きつけてやまないのでしょう>(2017年1月8日付)

なお、日本で人気のAIチャットボットと言えば、マイクロソフトが提供する女子高生AI「りんな」が代表的だ。彼女は恋愛相談と疑似恋愛のふたつの用途で人気を博しているという。今後、恋愛に特化した「擬人化されたAI」は続々と登場するはずである。

恋愛におけるAI活用の3つ目の用途としては「カップリング」、もしくは「マッチング」がある。自分に最適な相手を、人工知能が推薦したり、選んでくれるというものだ。恋活・婚活マッチングサービス「メグリー」は、提供しているアプリに「業界初でAIを取り入れた」と大々的に宣伝している。精度や結果が報告された例が見当たらないので、AIがどれほど恋愛マッチングに成果を発揮しているかは定かではないが、こちらも非常に気になるニュースだ。なお恋愛の成否は、匂いや声などテキストデータでは測れない要因にも影響される。そう考えると、AIはしばらく「マッチング支援」の地位にとどまるとの推測もできる。

恋愛×AIに何を望む!? 隣国・韓国のアンケート事例

お隣りの韓国では大手紙「朝鮮日報」が、「人工知能と恋愛」に関する詳細なアンケート調査(20~30代男女・394人対象)を実施している。興味深いので、その概要を最後にまとめてみたい。

まずアンケートでは、「人工知能が恋愛における役割や労力を代替できると思うか」という設問がなされた。これに対し男性は57.1%が、女性は32%が「代替できる」と答えたという。続いて「代替ができると思う恋愛の領域は?」という質問に対しては、「スキンシップ(コミュニケーション)」が41.9%ともっとも多く、次いで「プレゼントやイベントの準備」が36%となった。2つで全体の約8割を占める結果だ。

韓国では、恋愛における相手とコミュニケーションや、サプライズの準備に時間的、もしくは精神的な負担を感じている人々が多いのだろうか。そうなると、もはや恋愛と呼べないような気もするが……いずれにせよ「恋愛の自動化」を望む意見が潜在的に多い結果となった。

次いでアンケートの回答として多かったのが、「恋愛相談」(16%)だった。前述したAI恋愛カウンセラーの存在は、海外においても望む声が多いようだ。なお回答のなかには「人工知能を恋愛相手にしたい」(5.6%)、「結婚相手にしたい」(0.5%)などといった、疑似恋愛としての用途も少数派ながらあった。

以上のようにAIを利用した恋愛に関するサービスをいくつか見てきたが、パートナーとのやりとり(メールやチャットなど)を引き受けてくれたり、デートプランを考えてくれるAIというのはまだ登場してきていない。今後、どんな恋愛×AIサービスが登場し、関連市場を牽引していくのだろうか。圧倒的な先行強者がいない分野だけに、サービスとして伸びていく余地は多く残されているはずだ。