米中AI競争の最前線「CES2018」に参加した注目の中国企業

AI分野のリーダーを狙う中国…CESで見せつけた存在感

2017年7月、世界に向けて「人工知能の分野でリーダー」になると宣言した中国。その言葉を裏付けるように、2018年1月から早くもその動きが目立ちはじめている。

1月9~12日にかけて、米ラスベガスで開幕された世界最大の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー 2018」(以下、CES 2018)には、多くの中国企業が参加した。各メディアの報道を総合すると、今回のCESには約4500社の企業・団体が参加したが、うち中国企業は3分の1、約1500を占めたという。この数字は、本拠地・米国企業に次いで2番目となる規模だ。

CESを主催する米・コンシューマ技術協会(CTA)は、今回のCESで注目すべき3つのトレンドとして「スマートシティ」「音声・コンピューティング」、そして「AIの実生活への応用」を挙げた。中国企業はそれらテーマで自らの技術を誇示。各国メディアも、中国企業が音声認識、顔認識、コンピュータビジョン、マシンラーニングなど、AI技術の分野で世界トップクラスの開発・研究が進められていると評価した。ここで、CESのAI分野で目立った中国企業をいくつか紹介したい。

音声認識で中国70%のシェアを占める巨人が初参加

まず音声認識の分野では、中国国内でトップを走るiFlytekがCESに初参加した。同社は、英語、中国語などを含む7つの言語をリアルタイムで通訳・翻訳する技術や音声を字幕などテキストに変える技術を開発・保持している。

iFlytekは、中国の音声認識技術関連市場の70%以上を占める大手企業だ。2017年には自動車、TV、ロボット、家電製品などを音声で制御するシステムを公開。また、清華大学と共同開発したAIロボット「暁医(シャオイー)」が、中国の国家医師免許試験に合格するといった成果も出している。

なおiFlytekは毎年、売上高の20%以上を研究・開発(R&D)に投資する企業としても有名だ。米テクノロジーメディア「MITテクノロジーレビュー」が2017年に選出した「世界で最もスマートな50大企業」で同社は6位にランクインしている。これは、中国企業のなかでも最も高い順位だ。現在、iFlytekはAI分野で、BAT(バイドゥ・アリババ・テンセント)と肩を並べるレベルまで成長。11月には、中国科学技術部がBATとiFlytekを“AI国家チーム”の最初のメンバーに選んだ。

一方、IT大手のバイドゥも、これまで開発を続けてきたAI技術をCESおよび関連イベントで公開した。AIベースの自律走行システム「アポロ2.0」、また対話型AIプラットフォーム「DuerOS」を搭載したスマートフォンやスマート家電、AIスピーカー「Little Fish」などがそれにあたる。

バイドゥは近年、AI研究・開発に莫大な資金を注ぎ込んでいる。その額は売上高の15%にあたる約15億ドル(約1650億円)にもなる。創業者である李彦宏CEOも、AIへの投資については強い意志を表明している。2017年10月、米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」が主催したカンファレンスで李CEOは、新しい時代、すなわちAIの時代に入ったと明言し、同社のR&D投資の大部分がAIとその関連分野だと言及している。

ロボットブースの半数以上を中国勢が占める

さらに顔認識技術の分野で注目を集めたのは、Megvii Technologyだった。CESの展示場では、モバイル機器のロックを顔認識で解除する技術などを披露。「Face++」の名称で知られる同社のAI顔認識技術は、中国のさまざまな分野で活用され始めている。BATの一角・アリババは、Megvii Technologyの顔認識技術をモバイル決済などに採用しており、カーシェア大手・滴滴出行は、同社の技術を運転者の身分確認のために利用している。また、中国の警察部門も同技術を採用しており、街頭の防犯カメラと連携した犯罪者の摘発に役立てている。

その他にも、今回のCESには水中ロボット「BIKI」を披露したRoboseaをはじめ、アマゾンのAIアシスタント・アレクサと連動したコミュニケーションロボット「Sanbot」を出展したQihan Technology、教育用ロボットを出展したiPAL、受付用ロボットを開発するSDNO、案内用ロボットのUBTECH Roboticsなど、ロボット☓AI分野の中国企業も目立っていた。ロボットブースには36社が出展したそうだが、中国企業の数は過半数より多い20社だったという。

海外メディアの中には、米国で行われたCESを「Consumer Electronics Show」ではなく、「China Electronics Show」と表現しているメディアもある。皮肉のように聞こえなくもないが、それだけ中国勢の存在感が高かったということだけは間違いないだろう。現在、AI分野では米国がトップを走っているが、中国の猛追が始まろうとしている。2018年は、より米中の競争が激化する年になるのだろうか。日本国内の動向ともにチェックしたいイシューだ。